オーディオルームのセッティングは最初と最後が肝心です。

 まずはじめに、オーディオルームをどのように使用するか大体のプランを作ることです。 これは、後で修正するとなると全ての機器のセッティングをやり直さなければなりませんから 大いなる時間の無駄を避けるためにはまず基本を知ることが重要です。そして、各オーディオ 機器をセッティングの項にしたがって十分に時間をかけてセッティングします。最後に 再びこの項に戻ってオーディオルームのチューニングを行います。オーディオルームのチュー ニングは、最後のコンポ選びと言う人もいるように、最終的に音を決めるもので、重要かつ欠く ことのできないものです。

 ここでは直方体の部屋について述べましょう。立方体の部屋をオーディオルームにする人は少 ないと思いますが基本はそんなに違いません。定在波の発生を避けるためにスタジオのような 互いに平行な面を持たないオーディオルームを最初から作っている人は少ないと思いますが そのような人は既に十分な知識を持っているでしょうから、以下はあまり役に立たないかもしれません。

まず最初に行うことはスピーカーの位置決めです。

 (スピーカー自体のセッティングは、スピーカーの項で述べます。)
 まず、フロントの2チャンネルのメインスピーカーの位置を決めてから、残りの3台のスピーカーの位置を決めることが重要です。これは巻頭でも述べたように、フロントの2台のメインスピーカーが音像を決める決定的役割を担っていることから、何よりも優先して良い位置を確保することが大切です。 
フロント2台のメインスピーカーを部屋の縦側(短いほうの壁)に置くか、横側(長いほうの壁)に置くかは、いろいろな条件を検討して決定すべき問題です。
 部屋の大きさが12畳以上で正方形に近い部屋、または15畳以上で縦/横比が2/3以上ならば、縦側(短いほうの壁)においたほうがよいでしょう。逆に、10畳以下の部屋、または15畳以上でも縦/横比が2/3以下の部屋なら、横側(長いほうの壁)に置いたほうが良いでしょう。これは、基本的にオーケストラ再生は、サイドやリアの壁からの反響音がより多く聴けるように、部屋の縦側にスピーカーを設置する位置が良いわけですが、狭い部屋や長細い部屋で、縦
側にスピーカーを設置すると、定在波が発生することが多く、良い音響が得られないためです。
 これに加えて、リスニングポジションがどこかも加味して決定すべきです。たとえば、スピーカーと反対側の壁にソファーなどをくっつけて、そこに座って聴く場合と、反対側の壁から離して、部屋の中央寄りのいすに座って聴く場合とでは、音響が全く異なります。前者の場合は、どうしても低音が増強され、特に縦側にスピーカーを置いた場合は、定在波の影響が出やすいので、横側(長いほうの壁)にスピーカーを設置すべきです。後者の場合は、逆に、低音域が聴こえ難くなりやすく、スピーカーからの中高音が直接耳に入りやすくなることから、縦側(短いほうの壁)にスピーカーを設置するべきです。ただし、以上は2チャンネルのステレオ時代に限っての話とすべきかもしれません。5チャンネル再生のことを考えると、前者は、いすの位置が後ろすぎて不適当、後者は、後で述べるようにサラウンドスピーカーの位置が不適当となることが多いと言えます。
 もうひとつ、フロント2チャンネルのメインスピーカーは、両サイドの壁から最低50センチできれば70センチは離すこと、これはかなり重要なポイントです。これは、次のスピーカーのセッティングの項でも述べていますが、両サイドの壁の反射音がメインスピーカーの音像と音場形成にかなり影響するからで、ある程度離さないと正確なステレオイメージが形成できません。
 また、フロント2チャンネルのスピーカー間の距離は、最低2メートルとること、できれば3メートル以上とること、これは、大型スピーカーを使用した場合のステレオイメージの構築に最低必要な条件といえましょう。
 オーディオ雑誌の中には、単純に長いほうの壁が良いとしているものもありますが、以上の条件を総合的に検討して決めるべきです。
 次に、残りの3台のスピーカーの位置決めとなりますが、次のスピーカーのセッティングの項と重複しますが、TURの規定どうりにやると、センタースピーカーは、フロントメイン2チャンネルの中央および、それらが形成する円弧上、リアスピーカーは、同様にフロントメイン2チャンネルスピーカーの形成する円弧上で、リスニングポイントから見て、センタースピーカーよりそれぞれ110度回転した位置、5台のスピーカーはすべてリスニングポイントより等距離となります。この条件を満たすように配置しようとすると、今まで述べたような縦横の使用法では不可能な場合もあるでしょう。ここで、デジタルプリアンプを使用できる方は、各チャンネルにディレイ(遅延時間)をかけられますので、スピーカー5台を等距離に置く必要はなくなりますから、かなり自由度が増します。デジタルプリアンプを使用しない場合は、DVD−Audioならば、プレイヤーで遅延時間の設定ができますが、SACD−Multiはできませんので、5台のスピーカーは絶対に等距離に設置しなければなりません。このあたりが、部屋の縦か横かの使用法を決定するうえで、意外と決定的ポイントとなると思われます。

次に重要なことは左右対称のスピーカーの配置と部屋の使用です。

 正確で円満なステレオイメージの再現のためには、左右対称にこだわることは重要です。 スピーカーは、上記の短い側の壁に左右均等に設置しそれ以外の部屋のインテリアや家具類 もできるだけ左右均等に配置することこれを完全に満たすことはかなり難しいことですが 極力努力いたしましょう。部屋が左右対称に使用されていなければ必ず左右の音場がいびつ になってしまいます。これは、部屋の反射波が音場形成に重要な役割を担っているからで、 部屋の後ろの方に吸音材でも張れば左右対称じゃなくても良いかと言うと残念ながらだめです。

 それともう一つはメインの2チャンネルスピーカーの間にはあまり大きな物を置かないことです。 2つのスピーカー内側に大きなものを置くと音場が歪みます。後で述べるようにマルチ チャンネルの場合はセンターにもう1台スピーカーが入ってきてしまいますがそれは仕方ない としてもできるだけ大きなものは置かないことでしょう。ただし逆に多少物を置いた方が スピーカー同士の干渉が減り良い場合もありますので絶対的ではありません。しかしながら その場合もあまり大きなものは好ましくないはずです

次はオーディオラックの位置決めです。

 (オーディオラックのセッティングは主としてここで述べてしまいます。)
 昔はよく2つのスピーカーの間にオーディオ機器を置いたものですがこれは極力避けるべきでしょう。 オーディオ機器を置くラックは、前回述べたように丈夫な重量のあるものが必須ですがどのように 重量があっても音のエネルギーは必ず床からラックを揺るがしオーディオ機器を振動させ 音を変化させます。理想としてはオーディオ機器とスピーカーを置く所だけは、建物の基礎を 剥き出しにしてそこにじかに置くのが良いのですが現実的には難しいでしょう。
 オーディオラックを置くところはできれば左右のメインスピーカーから等距離のしかも できるだけスピ−カーから遠い所です。スピーカーから等距離と言うのは距離が異なると 左右のスピーカーからの振動エネルギーの伝達時間に差が生じ再生音の位相のずれを生じて 微妙に左右の再生音場が異なることがあるからです。これはラックの下に十分な硬質フェルトを 敷いたりすることによって解決できますが注意すべき所です。現実的にはリスニングポイントの すぐ前に左右のスピーカーから等距離に置くか左右のどちらかの壁にできるだけスピーカーから 離して十分な防振処理をして設置することになりましょう。

ここからスピーカー自体のセッティング(次の項参照のこと)に移行します。 スピーカー、アンプCDDVDプレイヤー等の大まかなセッティングが完了した後で 以下の最終的な調整に戻ります。最初から以下の内容を検討してはいけません。
まずいつも使用しているレファレンスCDを好みの音量で聞いてみます。
再生音がぼんやりしているか逆にシャープか落ち着いて聞こえるのか逆に少しうるさく 感じるかを大まかに判断します。

 ぼんやりして元気の無い少しつまらない音ならば吸音過多による残響時間不足と思われますので 吸音性のものをできるだけオーディオルームから出してしまいましょう。明らかに吸音性の物で なくともごく普通の家具でも吸音性はありますので、とにかく物や家具を外に出すか部屋の中 での配置を変えてみましょう。

 逆に再生音が元気良すぎて耳ざわりのようなら特定の周波数の音が響きすぎかもしれません。 前回もオーディオルームの選定の項で少し述べているようにできるだけ全ての周波数領域の 音がよく響く(残響時間が長い)部屋にするのがオーケストラ再生には良いわけですがこの ように耳障りな再生音の場合は特定の周波数領域の残響が長すぎるかその周波数領域で定在波が 発生していると考えられます。この対策として吸音性のものを増やすことと部屋の中の家具や 物の配置を替える方法の2とうりがあります。
 吸音性のものを増やすのは、前述のように家具や調度品を増やすこと以外には、例えば小さな テーブルクロスをテーブルにかけるなどでも良いですしぬいぐるみや観葉植物を置くことでも 良いでしょう。これらは一般的には部屋のコーナーに置いた方が効果がありますが必ずしも そうとも限りませんのでいろいろテストしてみてください。
 部屋の中の家具や物の配置を替えることは、思ったより劇的な効果があることが多いものです。 先ほどオーディオルームは極力左右対称に使用するのが良いと言いましたが場合によっては 家具や物を多少左右非対称に配置した方が定在波の発生を抑えて良い音響が得られることがあります。 現実的には完全完璧な左右対称のオーディオルームを持っている人はあまりいないと思います。 たいていは入り口のドアがどちらかに寄っていたりするものです。家具や物の配置を替えて満足 できる音響が得られるならば最高のコストパフォーマンスのチューニングでしょう
 オーディオルーム用の本格的な吸音材も市販されていますが最初からこれらの吸音材を使用して はいけません。このような商品はほとんどの場合吸音過多となり確かに音はすっきりしますが 確実につまらない音になります。これらは以上の試行錯誤を行ってもどうしても解決できない時に 使用すべき物です。

最後に左右均等な音場が再現されているか最終的なチェックをします。

 ステレオ音響というのは仮想定位による音場再現でありこれは本来かなり微妙なものです。 ちょっとしたリスニングポイントの違いやリスニングルームの左右の音響特性の違いで 左右均等なステレオイメージが再現されないことがあります。
 リスニングポイントすなわち音楽を聴く位置の選定は極めて重要です。基本的には左右の メインスピーカーのまん中でいずれかのスピーカーまでの距離が左右のスピーカー中心間の 距離より多少長め(1割ないし2割増くらい)の位置です。
 ここでこの2つの長さが同じに配置する(正三角形の頂点に配置する)ようにすすめている本も ありますがそのようにスピーカーとリスナーを正三角形に配置すると再生音の中抜け現象が 発生しやすく部屋の後方やサイドからの美しい反射音を十分に聞けなくなり確かに音はシャープに なりますが確実に不自然な音響になります。
このような正三角形の配置はステレオ初期に推奨 されていたものでその理由はそのような配置がわかりやすかったのと機器のグレードが現在と 比べると極めて低かったためにとにかく左右のスピーカーから違う音が出ると言うことをアピール するねらいがあったためと思います。
 現在でもこの配置を推奨している有名海外スピーカー専門ブランドもありますが限りなく間違いに 近いものです。現代ではこれらの配置は録音エンジニアがモニタールームで録音内容を厳密に チェックするときのみ有用と言える方式です 。
一般的な音楽を楽しむ試聴形式特にクラッシックの オーケストラ再生ではオーディオルームのサイドやリアの壁からの反響音をできるだけ聴くために この配置は決して行ってはいけません。
 リスニングポイントの決定には十分な試聴トライアルが必要です。わずか1センチの違いで音響は 決定的に変わります。最適な位置を見つけるまでいろいろなソフトをかけて検証しましょう。 最終的な位置が決まったらここからここまでの間とマジックやテープなどで床に印をつけて おきましょう。それはおそらくプラスマイナス5ミリメートルの範囲内のはずです。

 リスニングルームの左右の音響特性の違いの問題について考えるとき意外な盲点は中央の ディスプレイ(画面)かもしれません。大型ディスプレイになるに従い反射波も当然多くなり オーディオルームの音響特性に影響をおよぼします。左右均等な音場が再現されないときは まずはじめに大型ディスプレイの設置角度をチェックしたり位置を再検討することが 必要かもしれません。ディスプレイの設置角度が左右にほんの少しずれていても 音場が決定的に変わることがあります。また当然ですがディスプレイ以外の家具や物も 角度や位置を検討して左右均等の音場作りにトライしてください。



 私は今日は音楽を聞くというときは途中適当に休憩しながら1日平均3時間くらい聴きます。 この間ソフトにより多少の変動はありますが音量は絶対に下げません。ずっと大音量再生です。 オーディオのセッティングが完璧でないとすぐ耳が疲れて長くは聴けません。セッティングが 完璧になれば長時間聴いても疲れないようになりますし3Kがずっと持続します。
 もう一つこれには最近のデジタル技術も大きく貢献しています。昔の録音〜アナログ録音や初期 のデジタル録音(主として83年以前のもの)はやはり聴き疲れしますので3時間も続けては 大音量では聞けません。最新の録音または最低でも84年以降のものを最新のデジタル技術で 再現する場合(最新のDVDプレイヤーをデジタルプリアンプにデジタル接続して聴くCD等の場合) は、3時間は快適です。


 CDはDVDやSACDに比べて情報量が少ない音楽ソースです。その情報量が少ないものを 如何にうまくそれらしく表現するかと言うことを考えなければなりません。  ここで"適当に響かせて適当に抑えこむ"と言う考え方がクローズアップされてきます。 オーケストラ音楽のオーディオルームのセットアップの基本はこれです。これは,CDに限らず DVDAudioやSACD等のセットアップの場合も全く同じ考え方です。オーディオルームの構造や部屋の 中に置く物は、音を出したときに変な振動や共振を起こさないようにするのが基本ですがなんでも かんでも余計な音を生じないように、全く響かないように抑え込めば良い音がするわけでは ありません。  無響室のような音が全く響かないオーディオルームを造る人がいますがこれは大いなる 勘違いです。変な残響や明らかに余計な音がくっついてくる部屋はだめですが良い響き のするオーディオルームのサウンドは格別です。良いコンサートホールというのは音を出した 音に良い響きが出るホールであって全く音が響かない場所であれば誰も来なくなるでしょう。 オーディオマニアの一部はここで大きな勘違いをしています。良い響きのするホールで録音 したものは、全く響かない部屋で再現してこそ本来の音が聞けると言う考え方ですがこれは 完全なる間違いです。
 2チャンネル録音のマイクセッティングを考えてみればわかります。オーケストラに向けて 天井から吊るした2本のマイクを左右に拡げて録音するのが基本です。現在では、この2本の マイクだけで録音されることはほとんどありませんがステレオ録音の基本方式です。この 2本のマイクで完璧に全てのホールの音を収録できているか?当然そんなことはありません。 オーディオルームでは、その中央からぶらさがったマイクの位置の2つの音を左右のスピーカー からリスナーに向けて再現しているのです。当然ホールの全ての響きが再現されるはずが ありません。
 ステレオ録音のマイクはあくまでもオーケストラの音を左右に分けて収録するのが目的であって 録音ホールのホールトーンは付加的なものと考えるべきです。
ホールトーンはユーザーが オーディオルームで再生するときにさらに適宜付加(スピーカーから発せられる音= 「楽音+録音されたホールの残響成分」に対しオーディオルームの残響をさらに付加する) して初めて十分な美しい楽しめる響きになると考えるべきです。
 良い響きを聞きたければオーディオルームは必ずできるだけ響くように設計し極力残響時間 を長くするようにセッティングするべきものなのです。ただしその際、特定の音が強調 されるということや特定の音だけが残響時間が長いといったこと特定の周波数で共振 するものがあるといったことは避けなければなりません。


 巷ではマニュアル人間と言う人種がいるそうですが趣味のオーディオの世界でも それは間違いではないかもしれません。既成の概念やマニュアルにとらわれ過ぎている 人が非常に多いように思います。もちろんオーディオも趣味の物とはいえ奥が広いもの ですからある程度のマニュアルや基本的注意常識は必要ですがそれに縛られて自由な 発想や工夫ができない人が多いように見受けられます。
 オーディオ趣味の上達の基本は既成の概念にとらわれずにいろいろ試して最高の音を 見つけることそしてその理由を考えることであると思います。

 私はこのホームページでこれらの既成の概念やマニュアルの間違いや問題点を打破して いきたいと思っています。以下のスピーカーのセッティング方法やプリアンプのトーン コントロールの使用法がその例ですがその他のものについてもできるだけ理論的に結論を 導いていきたいと思います。